船積み後の重大ミス発覚。
「出荷した商品梱包にミスがあった」。中国の協力工場から連絡が入り、社内に緊張が走った。
平松工業では、商社などの第三者を介さず直接納品する直接貿易という輸入形態を取っている。直貿は中間マージンや経由地のタイムロスがないなど、顧客側のメリットは大きい。反面、銀行が発行する信用状にあらかじめ納品日や納品状態を定めるルールがあること、海外の協力工場から顧客の指定倉庫へ直接納品することなどから、指示出しや確認には通常以上に神経を使う。
どうやら、今回は協力工場が商品別に外箱に貼る目印のテープを間違えてしまったらしい。そのまま顧客の契約倉庫に納品されてしまってはシステムトラブルで大問題になることが明らかだった。
チームでトラブルを乗り切れ。
日本の港に荷物が着いてから、検疫や税関を経て陸運ルートに乗るまでは3日間。港にコンテナがある3日間ですべての荷物をチェックし、修正作業を行わなくてはならない。この時、事情を聞いて一肌脱いでくれたのは長年取引のある海貨業者だった。他の荷役業務も立て込む多忙な中、「長年お世話になっている平松工業のピンチであれば」と修正作業を買って出てくれたのだ。私たちも協力工場から出荷時の状況をヒアリングし、子細を海貨業者に伝える。三者の連携プレーで修正作業は無事完了し、納期に間に合わせることができた。
モノづくりはチームプレイだ。私たちが考えるモノづくりとは、「顧客に無事商品を届けること」まで含まれる。もちろんミスやトラブルはないに越したことはないが、どんな事態に陥っても顧客の利益を優先し協力しあえるパートナーがいることが、私たちの強みなのである。